人間は様々な部分に(卑近な表現方法になりますが)体内と外界とが交通する「通路」を有しています。耳・鼻然り、また尿道も然りです。皮膚表面をはじめとして、外界には好むと好まざるといわゆる雑菌が多数存在しており、こういった「通路」から絶えず体内に侵入してこようとしています。このような外界からの雑菌侵入に対して、人間の体には様々な防御機構がそなわっています。それがいわゆる免疫システムであり、尿路に関して述べますと、免疫システム以外に尿道からの粘液分泌や尿そのものによる洗浄効果も、その防御機構として挙げることができます。
特に女性は尿道が非常に短く、外陰部の細菌が極めて容易に膀胱内に侵入してしまいます。しかし通常であれば先に述べました免疫システムや尿そのものによる洗浄効果などによって細菌は定着しないように保たれています。とは言うものの、例えば仕事が立て込んでいて非常に体が疲れている状態などでは免疫能力が低下しますし、十分に水分がとれない環境であるとか発汗が著しいような状態・また排尿を我慢する状態が続きますと尿による洗浄効果が十分に発揮されなくなってしまいます。こういった時に膀胱内に侵入した細菌が排除されることなく異常繁殖し続け、膀胱炎を発生させてしまうのです。
膀胱炎になりますと、排尿時の痛み・排尿後もスッキリしない・頻繁におしっこがしたくなる・トイレに行く割にはあまりたくさんの尿が出ないなどの症状が現れます。
膀胱炎は抗生物質の内服で比較的速やかに軽快しますが、中には細菌がさらに尿路の奥にあたる腎臓にまで到達し高熱を来す腎盂腎炎という病態になることがあります。また繰り返し膀胱炎になってしまうような方や尿の培養検査で特殊な細菌が検出されるケースなどでは他に重大な病気が隠れていることもありますので「たかが膀胱炎、されど膀胱炎」であります。症状があれば専門家の診察を受けられることを是非お勧めします。